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2004年1月21日 (水)

出生の秘密(3)小さい子

「小さい方のお子さんの成長がとまっているようです」

8月の終わりに担当の先生からこんなショッキングなことを言われました。双子の出産予定日は10月半ば・・・まだまだおなかの中で育ててあげないといけないのに・・・。

双子や三つ子などの多胎妊娠は様々なトラブルを引き起こします。やはり人間の身体は一人の赤ちゃんを産むようにできているからでしょうか?

その一つに胎盤の共有あるいは癒着による栄養の偏り、ということがあります。

妊娠初期から二人の推定体重には差がありました。1割〜2割の差でしたが、成人の女性のスケールで考えると体重40kgの女性と50kgの女性の差ぐらいありますから、結構な差です。

そして一つのおなかに二人入っているので、どうしても二人とも小さめです。それでも、二人ともそれなりに成長し続けてくれていたのですが、ここにきて、小さい子の成長が止まっていると言われ、私も夫もかなりのショックを受けました。

このままでは小さい子は危ないかも知れない・・・。

胎児の一人が危ない、ということはもう一人も道連れになる可能性があります。双子は特に胎児のうちは運命共同体としての宿命をもっているのです。

先生は次のようにおっしゃられました。
「来週35週になったら帝王切開を行った方がいいと思います。35週で出産というのはかなり不安が残りますが、今のままでは小さいお子さんはおなかの中で死んでしまうかも知れません。今の医療技術であれば、35週の赤ちゃんでも保育器で十分育てることができますから」

週数は34週になったところでした。34週になると肺ができる、と言われています。安心して産めるのは37週を超えてからですが、34週というのは最初の合格ラインにあたります。それでも「何かがちゃんと育っていないかも知れない」という不安は私たち夫婦だけでなく、先生の心の中にもよぎったことでしょう。

そして私たち夫婦は決断しました。

小さい子にはなんらかの障害が出るかも知れない。それでも、すべてを受け止めようと。

水曜日の午後が私の担当の先生の手術日にあたるので、翌週、9月最初の水曜日に帝王切開をすることになりました。子供の誕生日が病院の都合であらかじめ決まることに、なんだか変な感じがしたものです。

いろんな不安を抱えながら、ついに手術の日がやってきました。

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