ルークの日記(2)モゾモゾがやってきた
9月が終わろうとしたある日、パパが誰かに電話していました。
「ルークがいるところに赤ん坊がやってきたら『こいつら、ボクのあとから家にやってきた』とルークが思うやろうからルークを外に連れ出して、その間に赤ん坊を連れて帰って、そこにルークを連れて帰るわ」
そしてボクはいつものお店にトリミング(犬の散髪屋さん)に連れて行かれました。トリミングしてもらってすっきりしたボクは迎えにきてくれたパパにじゃれついて「ありがとう」と言いました。
でも車に乗った時にはじめて嗅ぐにおいがしました。
(クンクン・・・ナンダロウ、コノニオイハ・・・)
おうちに帰るとママのにおいがしました。ボクは嬉しくて嬉しくて玄関から走って部屋の中に向かいました。ママはソファーに座って待っていました。
「ルーク!元気だった?ママ、ルークに会いたかった。さびしかった?ごめんね」
ママはボクを抱っこしてくれました。でも、ママの身体にもはじめてのにおいがしました。
(クンクン・・・ママノニオイニ、ホカノニオイガツイテル)
そのにおいはベッドの部屋からしました。ボクはベッドの部屋にとんでいきました。何日か前からパパとママのベッドの横に小さなベッドが置かれていて、そのベッドの上に何かがいました。それはモゾモゾしていて甘ったるいようなにおいがしました。
(コレハナニ?ウゴイテルゾ。キケン?ナンノニオイ?)
ボクがモゾモゾのまわりをクンクン嗅ぎまわっていると、ママがやってきて言いました。「ルーク、赤ちゃんよ。ルーク、お兄ちゃんになったのよ。赤ちゃんのこと、可愛がってね」
モゾモゾは赤ちゃんというようです。2匹もいました。そして時々、「おぎゃあおぎゃあ」と泣きました。そのたびにボクは何事かと思い、パパやママよりも早く、ベッドに見に行きました。
夜寝ている時もモゾモゾは突然「おぎゃあおぎゃあ」と泣き始めます。そのたびにボクは目が覚めてしまうので、すっかり寝不足になってしまいました。パパもママも寝不足でイライラしていました。
(コンナウルサイモノ、ドコカラモラッテキタンダロウ)
モゾモゾがやってきた日から、お客さんが増えました。おじいちゃんとおばあちゃんもやってきて、ボクはお正月の時のように遊んでもらおうと思ってはりきっていたのですが、二人ともモゾモゾを抱っこするのに夢中でした。モゾモゾはワンともなんとも言わないのに二人とも「可愛い〜」と言って目を細めるのでボクはくやしくなりました。
パパとママはモゾモゾがやってきて以来、忙しそうでした。ボクと遊んでくれる時間も減ってボクは悲しくなりました。モゾモゾなんて大嫌いだ。ボクはそう思いました。
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